【書評】「全くゼロからのJクラブのつくりかた」(望月重良) やるかやらないか、それしかない

 

 望月重良――、元サッカー日本代表の名選手である。小学校から大学まで日本一を経験したサッカーエリートで名古屋グランパスエイトで華々しいデビュー。日本代表にまで上り詰めたものの、「特発性大腿骨壊死症」という難病のため現役を退いた。

 

その望月氏であるが、とある日、相模原の飲み屋で若大将から「サッカークラブを作ってほしい」と懇談されたという。目標を失っていた望月の目が再び輝いた瞬間であった。

 

以来、クラブづくりに奔走し、言い方は悪いが地味に神奈川県社会人サッカー3部リーグからSC相模原をスタートさせた。経営者としてである。

 

ドラッカーってどこのサッカー選手?との記載があるように経営はど素人。しかし、彼にはプロサッカー選手としての稀有な経験があった。経営をサッカーに置き換えることもしばしばだったという。

 

その中で元Jリーガー経験者が示唆に富んだ哲学を示している。成功のステップを踏むには、やるからやらないか、それにしかない、というのである。

 

このフレーズはもちろん私も共感するところであり、やりたいことがあるのにモヤモヤが続いた状況の人にとってもタメになる考えではないではないだろうか。是非とも噛みしめて、行動に移してほしいものである。

 

実際、望月氏はJクラブをつくりたいならアクションを起こしてもらいたい、起業したいのであればそのようにしてほしい、とアツいメッセージを送ってくれている(ありがとうございます!と叫びたい)。

 

先述の神奈川県サッカー三部リーグからわずか6年。SC相模原はJ3にいる。快挙と言っていいだろう。無論、まだまだSC相模原、望月氏の挑戦は続く。本書の帯にホリエモンこと堀江貴文氏が「スタートアップだ!」とのコメントを寄せているが、正にその通り。

 

やるかやらないか。望月氏は前者を選択し、J3まで上り詰めた。SC相模原はアジアの舞台も目指している。相模原の新興クラブ、そして望月氏の飛躍が楽しみで仕方がない。